この記事の結論

台風・強風による瓦の被害は火災保険(風災)、地震による被害は地震保険が対象です。ただし両者は仕組みがまったく違います。火災保険は損害に応じた保険金が支払われますが、地震保険は「修理費が出る保険」ではなく、損害の程度を4区分に認定して定率で支払う保険です。この違いを知らないまま期待すると、認定結果に戸惑うことになります。仕組みと期限を正確にご説明します。

まず「どちらの保険か」を見極める

「地震で屋根の瓦がずれてしまったけれど、これって保険で直せるの?」

台風や地震のあと、こうしたご相談をいただくことがよくあります。屋根の修理で保険を検討する際、最初に間違えやすいのが「どの保険を使うか」という点です。

保険の種類対象となる主な原因
火災保険(風災・雪災・ひょう災など) 台風、竜巻、強風、大雪、ひょうなどの自然災害による被害
地震保険 地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損壊・火災など

たとえば、台風の強い風で瓦が飛んだり割れたりした場合は火災保険、地震の揺れで瓦がズレたり落下したりした場合は地震保険が対象となります。

なお、地震保険は単体では加入できず、火災保険とセットで契約する仕組みです。火災保険には入っているが地震保険は付けていない、というご契約も少なくありません。まずは保険証券で、地震保険が付帯されているかをご確認ください。

地震による被害は、火災保険では補償されません

ここは特に誤解の多い点です。火災保険に加入していても、地震を原因とする損害は補償の対象外です。地震による被害に備えるには、地震保険への加入が必要になります。

地震保険は「修理費が出る保険」ではありません

この記事で最もお伝えしたいのが、この点です。

火災保険は、損害の内容に応じて保険金が算定されます。しかし地震保険は仕組みが異なり、実際の修理費ではなく、損害の程度を4つの区分に認定し、地震保険金額に一定割合を掛けた金額が支払われます。

損害区分認定の目安(建物・主要構造部の損害割合)支払われる額
全損時価の50%以上地震保険金額の100%
大半損時価の40%以上50%未満60%
小半損時価の20%以上40%未満30%
一部損時価の3%以上20%未満5%

※2017年1月1日以降を始期とする契約の区分です。それ以前の契約は「全損・半損・一部損」の3区分となります。認定は保険会社が行います。

押さえていただきたいポイントは3つです。

1. 「一部損」に至らなければ、保険金は支払われません

最も低い区分である一部損の基準は、主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上とされています。ここに届かない場合、保険金は支払われません。

瓦のズレが屋根のごく一部にとどまる場合、この基準に達しない可能性があります。「ズレたから必ず出る」というものではない、という点はご理解ください。

2. 判定されるのは「主要構造部」の損害です

地震保険で調査されるのは、建物を支える主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁など)です。屋根はこの主要構造部に含まれますので、屋根の被害は判定の対象になります。

一方、門・塀・垣、給排水設備など、主要構造部にあたらない部分だけの損害は対象外とされています。「瓦は無事だが塀が倒れた」というケースでは、建物の地震保険では補償されません。

3. 支払額と修理費は一致しません

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定する仕組みです。そのうえで、一部損なら5%、小半損なら30%が支払われます。

たとえば地震保険金額が900万円の契約で一部損と認定された場合、支払われるのは45万円です。この金額が修理費と一致するとは限りません。地震保険は、被災後の生活再建を支えることを目的とした制度であり、修理費の全額補填を目的とした保険ではないのです。

火災保険(風災)との違い

これに対して、台風・強風による被害を対象とする火災保険の風災補償は、損害の内容に応じて保険金が算定されます。棟板金がめくれた、瓦が飛散したといった被害であれば、その修理に必要な費用が算定の基礎となります。

ただし、契約ごとに設定された自己負担額(免責金額)を超えなければ支払いはありません。また、比較的古い契約では「損害額が一定金額以上の場合に支払う」という方式が採用されていることもあります。ご自身の契約がどの方式かは、保険証券でご確認ください。

火災保険を使った修繕については、火災保険リフォームのページで詳しくご説明しています。

「経年劣化」と言われるケースについて

申請の結果、「これは経年劣化によるものです」と判断されることがあります。

正直に申し上げると、実際に経年劣化が原因であるケースは少なくありません。瓦屋根の場合、漆喰の剥がれや葺き土の流出は、年月の経過とともに進行します。災害の有無にかかわらず起きる現象です。

一方で、災害をきっかけに発生した、あるいは進行が加速したと考えられる被害もあります。地震の揺れで瓦がズレて隙間ができた、強風で棟瓦が崩れた、といったケースです。

この切り分けは、専門的な判断を要します。同じ「棟板金の浮き」でも、風で釘がせり上がったのか、経年で錆びて抜けたのかで結論が変わるためです。

認定するのは保険会社です

私たち修理業者にできるのは、現地の状況を正確に記録し、被害の内容を専門的に整理してお伝えすることです。それが災害によるものかどうかを最終的に判断するのは、保険会社および鑑定人です。

「必ず認定させます」「経年劣化と言われても覆せます」といった説明をする業者にはご注意ください。実際とは異なる内容で申請することは、保険金詐欺にあたるおそれがあります。

見落としやすい2つの期限

期限1|地震から10日を超えて生じた損害は対象外

地震保険には、地震などが発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害は対象とならないという定めがあります。

これは意外と知られていません。「しばらく様子を見てから」と考えていると、この扱いに関わってくる可能性があります。地震のあとに気になる点があれば、早めに確認することが重要です。

期限2|請求権は3年で時効

保険法により、保険金の請求権は3年で時効となります。火災保険・地震保険のいずれも同様です。

ただし、時間が経つほど「本当にその災害が原因か」の判断は難しくなります。期限内であっても、早いほうが有利であることに変わりはありません。

申請をスムーズに進めるための手順

  1. 被害の写真を撮る(片付ける前に)

    修理や片付けを行う前に、被害状況がわかる写真を残してください。ただし、撮影のために屋根に上がることは絶対に避けてください。安全な場所から撮れる範囲で構いません。高所の記録は、現地調査の際にこちらで撮影します。

  2. 保険証券で補償内容を確認する

    地震保険が付帯されているか、自己負担額はいくらか、保険金額はいくらか。証券が見当たらない場合は、保険会社または代理店にお問い合わせください。

  3. 早めに専門業者へ調査を依頼する

    時間が経つと、被害と災害との因果関係を示すことが難しくなります。特に地震の場合は、前述の10日という定めもあります。

  4. 保険会社へ事故の報告を行う

    ご契約者ご本人から保険会社へご連絡ください。必要書類や今後の流れは、保険会社から案内があります。

  5. 調査資料・見積書を提出する

    被害箇所の写真と、修理内容を記した見積書をご用意します。DEEDでは、この資料作成をサポートしております。

  6. 認定を受けて、修繕工事を実施する

    保険会社の判断により支払額が決定されます。認定額が修理費に満たない場合の対応についても、事前にご相談のうえ進めます。

こんな業者にはご注意ください

災害の後に増える手口

  • 「保険金で必ず無料で直せる」と断定する/認定するのは保険会社です
  • 点検商法/「近くで工事をしていて気づいた」と突然訪問し、屋根に上がって不安を煽る手口です
  • 保険金の一定割合を手数料として請求する/契約書に高額な手数料や解約金がないか必ず確認してください
  • 実際とは異なる報告を提案する/保険金詐欺にあたるおそれがあります
  • その場での契約を強く迫る/冷静な判断を妨げるための常套句です

訪問販売による契約は、法律に基づき、書面を受け取った日から一定期間内であれば解除できる場合があります。困ったときは、お住まいの地域の消費生活センター、または消費者ホットライン「188」にご相談ください。

DEEDは「保険申請代行業者」ではありません

当社は修理業者の立場で、被害状況の調査・写真の撮影・見積書の作成をサポートし、修繕工事を行います。

保険金の請求・受領は、お客様ご自身が保険会社との間で行うものです。当社が保険金の受領や金額を保証するものではありません。また、保険金額に応じた手数料をいただくこともありません。

よくあるご質問

地震で瓦がズレました。地震保険で全額直せますか?
いいえ、そうとは限りません。地震保険は修理費を補填する保険ではなく、損害の程度を4区分に認定して定率で支払う仕組みです。また、最も低い「一部損」の基準に達しなければ支払いはありません。まずは被害の範囲を確認することが出発点になります。
火災保険には入っていますが、地震保険は付けていません
その場合、地震を原因とする損害は補償の対象外となります。火災保険では地震による被害は補償されないためです。今後の備えとして地震保険の付帯を検討される場合は、保険会社または代理店にご相談ください。
保険金が下りなかったら、工事はどうなりますか?
認定結果にかかわらず、雨漏りしている場合は修繕が必要です。DEEDでは、保険適用の有無とは切り離して、必要な工事と費用をご説明します。認定額が不足する場合の進め方も、事前にご相談のうえ決定します。
調査だけお願いして、工事は別の業者に頼んでも大丈夫ですか?
問題ありません。現地調査・お見積りは無料で承っており、その結果をもとに他社様と比較検討していただいて構いません。しつこい営業は一切いたしません。
屋根に上がって、自分で被害を確認してもいいですか?
絶対にお避けください。屋根は想像以上に滑りやすく、転落事故が毎年発生しています。また瓦は人が乗る前提の強度ではないため、踏み割って新たな被害をつくってしまうこともあります。確認は地上からにとどめてください。

まとめ

  • 台風・強風は火災保険、地震は地震保険/火災保険では地震の被害は補償されません
  • 地震保険は定率払い/修理費が出る保険ではなく、4区分の認定に応じた割合で支払われます
  • 「一部損」に至らなければ支払いなし/主要構造部の損害が時価の3%以上が目安です
  • 地震から10日を超えて生じた損害は対象外/様子見が不利に働くことがあります
  • 請求権の時効は3年/ただし早いほど因果関係を示しやすくなります
  • 認定するのは保険会社/「必ず認定させる」という業者にはご注意ください

DEEDからのコメント

「うちの瓦のズレや雨漏りは、保険が使えるんだろうか」——そう迷ったときは、自己判断で諦めてしまう前に、まずはご相談ください。

ただし、期待を持たせるだけの説明はいたしません。この記事で仕組みを詳しくお伝えしたのは、正確に知っていただいたうえでご判断いただきたいからです。保険が使えるかどうかにかかわらず、雨漏りしているなら修繕は必要です。私たちにできるのは、現地を見て、状態と必要な工事を正確にお伝えすることです。

DEEDは代表が自ら現場を確認し、写真でご説明します。無理な工事を勧めることはありません。点検の結果、今すぐの工事が不要であればその旨をお伝えします。

参考

  • 損害保険料率算出機構「地震保険基準料率」
  • 一般社団法人 日本損害保険協会「地震保険」関連資料
  • 各損害保険会社が公表する地震保険・火災保険の支払基準
  • 保険法(保険金請求権の消滅時効)

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